大恐慌の深化と収束のメカニズム、とりわけ金融政策とデフレとの関係について、民間経済主体の物価変動に関する期待形成のあり方の観点から実証的な考察を行った。具体的には、両大戦間期の金利ならびに商品先物価格のデータを整備し、これらのデータを用いて市場参加者の期待形成について分析した結果、金本位制からの離脱は市場参加者の円安予想を惹起し、デフレからインフレへと期待形成を大きく転換させた一方、国債の日銀引き受けの開始は市場参加者のインフレ期待を高める有意な効果を与えていなかったことが確認された。この背景には、当時の日本経済が開放小国としての性格を強く有していたことがあると考えられる。上記の研究成果は、ディスカッション・ペーパー(2本)にまとめ、学会発表を行うとともに、ワークショップを開催して、研究者ならびに政策関係者に広く還元した。
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