平成19年度については、金融証券化のうち、特に住宅金融公庫による住宅ローン買い取り業務が開始された住宅ローン市場に焦点を当て、地域金融機関と全国展開を行なっている大手金融機関との違いに配慮しながら、住宅ローン市場の実態・動向調査、住宅ローンのリスク分析と住宅金融公庫の買い取り業務の与える影響、流動性・収益性・金利リスク分析、証券化商品の展開、等について検討を行った。 まずは、先行研究でどの様な分析がなされているかを整理することから手がけることとした。本研究では金融の証券化が金融機関の融資活動やリスク管理に与える影響を検討するものであるから、金融の証券化そのものの制度や法制の比較などではなく、それが信用リスクの計測などを通じて、融資活動やリスク管理にどのような影響を及ぼしているのかを理論面と実務面の双方から整理することが目的である。実際のところ、現状では、証券化の制度・法制面の研究や、リスク管理からの研究のそれぞれについてはかなり精緻な展開がなされているが、証券化の進展を融資活動やリスク管理と融合してとらえるものは決して多くないことが確認できた。 こうした点に加え、来年度以降の展開も視野に入れながら、社債市場でのスプレッド分析も並行して進め、証券化商品も含めた格付データ、社債、金利データの入手・整理を進めた。さらにスプレッド分析に加え、これらのデータをもとに、金利リスクの分析に関しては、イールド・カーブ(利回り曲線)の動きを規定する要因に関して、最新のデータによる分析に着手することができた。
|