リスク管理の巧拙は、今や金融仲介機関の収益力に大きな影響を与える一つの要因となっているほか、ディスクロージャー体制の整備等を通じリスク管理能力そのものが市場から評価される対象にもなってきており、規制当局からの要請としてもあげられるようになってきた。 こうしたリスク管理と密接な関係で登場するのが、金融の証券化の流れであり、証券化商品である。証券化商品の役割や、リスク管理は金融仲介を考える上で非常に重要なものであるといえよう。金融証券化に関する研究は、証券化先進国であるアメリカの事例を中心に広く研究が行なわれており、日本での導入に関する制度・法制面の検討も数多くなされている。また、金利リスクに関してもMBSの期限前償還リスクに関する計量分析を中心に、特に近年盛んになっている。 本研究は、こうした証券化やリスク分析を個別に扱うのではなく、金融機関の融資・審査活動、リスク管理手法を情報生産活動の一環として捕らえ、総合的に分析を加えることを目的としている。
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