研究課題
本研究の目的は、わが国の地方財政における政府間の相互連関関係を、地方政府の戦略的行動と協調的行動を理論的に分析し、それらの実証的検証を行うことにある。これまで部分的ではあるが、地方政府間の戦略的行動が観察されている。そこで本研究では、分権に伴う戦略的行動の内容を整理し、このような財政競争によって生じる諸問題を解消するため協調政策のあり方を提示する。そして本研究の特徴は、地域規模の差異によって戦略的行動が地域間で異なることを理論的・実証的に検証し、このような非対称地域のもとでの協調政策ルールを提示することにある。当該研究における具体的な成果は以下のとおりである。1.人口規模が異なる地域での協調ルールとして、小規模地域間の協調を優先し、その後に大規模地域の協調政策を実施することはパレートの意味で効率的であることが明らかになった。2.日本における地方自治体間の財政競争について検証した。その結果、地方歳出において財政競争の可能性が検証された。さらにその競争の強さは自治体規模に依存することも示された。3.環境問題や便益が地方間でスピル・オーバーするような公共財を地方政府が供給、規制する場合の問題点について理論的研究を行い、地域単独の政策の限界と協調ルールを提示した。
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京都産業大学経済学研究科ディスカッションペーパー No. 2009-1
ページ: 1-23
Faculty of Economics, University of Toyama, Working Paper No. 230
ページ: 1-30