研究概要 |
初年度の本研究は,自己保有債券の売却が市場に与える影響(マーケット・インパクト)についての確率過程を適用した理論的研究を中心に行い,成果を得た.とくに,株数売却の市場価格への影響に次のような仮定を置いた場合の確率モデルを解析した. (1)市場に追加的な売却を行えば価格は低下すると仮定. (2)この影響はある程度の期間が経過すればなくなる,すなわち,市場価格は売却前の価格に復帰すると仮定する. (3)さらに,株数市場に売り注文が累積してくると,需給関係から株数価格が低下してくると仮定する. (4)また,株数売却によるマーケット・インパクトの価格低下から価格上昇に向けての復元を関数で与える. このような仮定のもとで,保有株数を市場で売却する場合,市場価格に与えるマーケット・インパクトを考慮して最適な売却ロットサイズを確率モデルを構築して解析を行った. さらに,これらの理論を学生が学習するための基礎的なチュートリアルシステムとして構築した.この研究成果を,「Development of tutoring system to understand loan interest rate decision theory」教育システム情報学会2007年度第3回研究会2007年10月20日於:名古屋大学,JSiSE Research Report Vol.22,no.3(2007-10),pp.39-44において発表した. マーケト・インパクトにおいて,価格変動の分布状態が不明で,価格変動の高くなるか,低くなるかだの確率を考慮した場合の,エントロピーモデルを応用した実用へのモデルを構築し,この基本的な考え方の研究の成果として,「Entropy Model with Application to Maintenance Policy」The International Conference on Industrial Engineering and Engineering Management(IEEM),Dec 3 to 5,2007 in Singapore国際会議での研究発表を行った.
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