明治・大正期、および戦前・戦時中の昭和期をカバーする広島県備後地方(現在の福山市新市町)の大手織物製造・販売業者である佐々木要右衛門商店が残した膨大な一次資料の整理を、本研究費の交付が認められた平成19年度以降の3年間に完了し、その間に学術論文、資料目録等の形で研究成果を公開することが本研究の主な目的である。この研究では、経済学研究科在学中の大学院生に対して資料整理の補助を通じて歴史学に関わる根本資料の整理・解読を学ばせるという教育効果も期待されている。 第2年目の本年度には、大学院生および学部生計4人の協力を得て(平成19年7月より計約7か月1人週2日1回4時間の整理を依頼)、資料所有者の佐々木被服有限会社より大阪大学に寄託された資料のほぼ全ての整理を終えた。整理の指針は、まず資料が入れられている箱を開封し、資料には取り出した順に、番号を記したラベルを添付して、各資料の内容に関する情報を記した整理用カードを資料に挿入し、その内容をコンピュータに記録するというものである。整理済みの資料は、例えば一枚物は袋詰めにするなど慎重に保管するように努めつつ、経済学研究科の経済史経営史資料室の書架に順次配置していった。さらに整理を終えた文書に関しては目録を順次作成していった。 資料整理は上記のとおりきわめて順調に進んだが、それと並行して研究代表者およびそのアドヴァイザーである山崎広明東京大学名誉教授がこれまでに本研究のテーマに関して発表してきた6論文を全面的に改訂し、さらに未着手であった戦時期の綿業統制に関する箇所を研究代表者が脱稿し、来年度に一書を出版すべく、その一次稿を作成した。
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