研究課題
明治・大正期、および戦前・戦時中の昭和期をカバーする広島県備後地方(現在の福山市新市町)の大手織物製造・販売業者である佐々木要右衛門商店が残した膨大な一次資料の整理を、本研究費の交付が認められた平成19年度以降の3年間に完了し、その間に学術論文、資料目録等の形で研究成果を取りまとめることが本研究の主な目的である。佐々木被服有限会社より寄託を受け、大阪大学経済学研究科歴史系準備室に保管されることになった大量の資料の約9割の整理は平成19~20年度に終了した。資料整理に際しては、資料1点1点ごとに丁寧に整理・分類していく正攻法を採用した。整理の指針は、まず、資料が入れられている箱を1箱ずつ開封し、次いで、取り出した順に番号を記したラベルを資料に添付して、各資料には内容に関する情報を記入した整理用カードを挿入し、その内容をコンピュータにも記録していった。整理が済んだ資料は、一枚物を袋詰めにするなど慎重に保管することに努めつつ、順次書架に配置していった。コンピュータ上では内容別(綿糸仕入れ、藍玉購入、綿布自工場生産、綿布外注、綿布集荷、綿布出荷、銀行取引、金銭出入、判取)、作製年別の整理も実施し、今後、研究代表者以外に本資料を活用する研究者のための便を図った。最終年度にあたる本年度は残る1割の整理を完了し、また逐次作成してきた資料目録を完成させた。本年度にはアルバイター(1人1日4時間、週2日勤務)を2人雇用して、上記の作業を実施した。本研究を通じて完成した資料目録は公開する用意ができている。また、研究代表者およびそのアドヴァイザーである山崎広明東京大学名誉教授がこれまでに本研究のテーマに関して発表してきた論文6編を、今回整理した資料に基づく補足を加えて全面的に改訂し、さらに未着手であった戦時期の綿業統制に関する箇所を研究代表者が脱稿して、一書を出版するための原稿をすでに完成している。
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日本歴史 第739号
ページ: 93-94
"The Diversification of a Japanese Cotton Spinning Company : The Case of Kanebo" in J.F.Wilson ed., King Cotton : A Tribute to Douglas A. Farnie(Carnegie Publish Ltd, Lancaster)
ページ: 177-201