(1)19世紀ドイツ語圏鉄道業の経営体の一般像と経営上の諸問題を主に同時代文献・新聞等の分析にもとづいて概観・整理し、社会経済史学会大会において報告(5月26日)した。そこではベルリン・フランクフルト鉄道を、19世紀前半における鉄道技術導入の突出したケースとして位置づけ、同時代文献による分析を試みたが、これをさらに経営内部の一次史料により補強すべく、東ドイツ国鉄(Deutsche Reichsbahn)併合統一後の改組・民営化にともないベルリン州立文書館Berlin Landesarchiv(Eichborndamm115-121 3403 Berlin)に委託された史料中、A Rep.80 13595 Hai V 2/114 Landespolizeiliche Abnahme derStrecke BerlinFrankfurt/0 Sommerfeld.1 Band l841-1892などを同文書館において調査した。土地収用・補償などに関する問題への鉄道技術者の責任の大きさがこれらの資料によって明らかとなる。これらの結果を統合し、論文を執筆公表する予定である。(2)またこれとは別にベルリン・ダーレム公文書館所蔵の「ドイツ鉄道管理協会」に関する資料を収集し、19世紀後半期の技術者とナショナリズムの関係について知見を得た。(3)学会誌等記事ならびにHerman de Jong、Rainer Fremdling(グロニンゲン大)ら招聘研究者との対話から、ドイツ連邦共和国におけるクリオメトリックス受容の状況を調査し、数量経済史研究会において報告をおこなった。
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