本研究は、第二次大戦前の日本における化学染料工業の形成・発展プロセスを(1)供給側、(2)需要側、(3)産業政策や教育政策の機能といった多面的な側面から明らかにした。日本は第一次世界大戦の直前まで、化学染料の大部分をドイツからの輸入に頼っていたが、いかにしてこの産業の勃興・成長が可能になったのかを明らかにした。同時に、化学染料という新しい原料がどのように国内に導入・普及していったのか、また化学染料工業とは発展経路を異にする化学工業(例えば紙・パルプ工業)も積極的に行い、将来の国際比較研究のための土台作りをした。
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