研究課題に関する、(1)戦時農地政策に関する資料収集と、(2)収集した資料の整理・分析、並びに(3)研究成果の公表、のうち、本年度は、(1)について、京都大学図書館、東京大学図書館、神戸市立図書館、京都府立総合資料館で戦時期の農地政策に関する農林省などの刊本類文献の収集を引続き行うとともに、特に樺太について、北海道開拓記念館、北海道立文書館、北海道立図書館で、文献収集を行った。樺太庁東京事務所文書(予算・決算関係文書が中心)と北海道拓殖銀行旧蔵文書(金融関係が中心)の調査を行い、戦時期樺太農地政策に関する文献資料の収集を行った。(2)・(3)については、収集した資料を整理・データのパソコン入力を進め、市町村別小作料適正化事業については、中国・四国・九州地方のデータを「日本における戦時期農地・農地政策関係資料(14)」として公表した。あわせて、戦時期の小作米授受についての資料を「日本における戦時期農地・農地政策関係資料(15)」として公表した。また、戦時期の小作争議を理解する上で重要な小作争議のパネルデータ分析の論文を有本寛氏と共同執筆で公表した。さらに、農地委員会委員について、戦時期と戦後改革期の農地委員会の年齢別視点からの分析を斉藤利佳氏と共同執筆で公表した。今西一編『世界システムと東アジアー小経営・国内植民地・「植民地近代」』所収の坂根嘉弘「近代日本の小農と家族・村落」では、地代論的視点から戦前期(戦時期を含む)の小作料を検討した。来年度も本年度と同様、資料収集とその分析、成果の公表を進めていく。
|