本年度は、(1)戦時農地政策に関する資料収集と、(2)収集した資料の整理・分析を進め、(3)研究成果の取り纏めにつとめた。本年度は、(1)について、各大学図書館並びに栃木県文書館で戦時期の農地政策に関する文献資料の収集を引続き行った。(3)については、戦時期農地政策の研究成果の一部を、坂根嘉弘「近代」として木村茂光編『日本農業史』(吉川弘文館、2010年11月、417頁)に掲載し、公表した。 本年度は、主に本研究課題の研究成果の取り纏めを行った。近く『日本における戦時農地政策の研究』(仮題)並びに『日本戦時農地政策資料集』(仮題)の2冊を刊行・公表の予定である。前者は研究論文編である。後者は本研究で収集した戦時農地政策資料のうち、未公表で今後の研究に裨益すると思われる資料を、解説をつけて刊行する。本年度は、『日本における戦時農地政策の研究』の取り纏めに力を入れた。大きな課題であったのは、序章にあたる研究史の整理・課題の提示と、朝鮮・台湾・樺太・南洋群島における戦時農地政策の分析である。後者は、当初は研究論文として公表するつもりであったが、予想外に資料が少なかった。特に、朝鮮総督府文書(昭和17年度府尹郡守会議報告書綴、情報週間展望、昭和17年現下食糧事情ヲ繞ル治安対策、経済治安日誌)に戦時農地政策関係の記述が予想外に少なく、また他の刊本類でも十分な資料を得られなかった。したがって、朝鮮・台湾・樺太・南洋群島については、最終的には日本の戦時農地政策に対する補論としての取り纏めとなる見込みである。
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