1.2006年に発表した「日本企業では、外国人の株式所有比率が多いほど、企業パフォーマンスの代理変数としたトービンのqが高いという」という研究成果に基づき、台湾上場企業に関しで2000年と2005年のデータで同様の分析を行ったところ、同様の結果が得られた。この成果を台湾の長栄大学で開催された学会で報告した。 2.日本の上場企業1325社についての2002年から2006年までの財務および株価データに基づいて、その資本構成を説明するのに、トレードオフ理論とペッキング・オーダー理論のどちらの妥当性が高いかの検証を行った。結論はどちらの理論でも説明が可能であるが、前者では説明変数である収益性の係数の符号が理論の予想とは逆になる矛盾があり、後者では負債増加を資金不足で説明する際の係数の値が理論からの予想よりも小さいという欠点があった。この研究成果は、2つの学会で報告した後、海外の査読付き雑誌に掲載された。 3.中国企業の株式所有構造が企業パフォーマンスの代理変数としたトービンのqとどのような関係があるか、上海証券市場に上場している企業を対象として実証分析を行った。企業パフォーマンスに大きな影響を与える株主として、政府(国家株)と株式を長期保有する投資家を戦略投資家として、これら2種類の投資家の持ち株比率とトービンのqとの関係を調べた。いずれの持ち株比率もトービンのqに対してプラスの影響を与えること、戦略投資家持ち株比率の係数の方が大きいことなどがわかった。この研究成果をまとめた論文を投稿中である。
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