本研究の目的は、「裸の王様」症候群のメカニズムを解明することである。今年度は、IT企業訪問ならびに文献調査・収集に専念した。なお、昨年度の研究成果をまとめた論文をAcademy of Management2008Conference(アメリカ合衆国カリフォルニア州アナハイム市で開催)で発表した。 日本のホワイトカラーの職場での質的調査の準備を行った。企業秘密・個人情報保護などにより、調査対象となる企業の事情に合わせ、質的調査のデザインを企画し、協力企業と折衝した。具体的には、首都圏に位置するIT企業で質的調査を行った。調査では、なぜ、どのように仕事の「流れ」が起こり、そのパラドックス的な現象が現れるかに注目する。具体的には、ワークフロー・コーディネーションの優劣が結果に直接影響を及ぼすと言われるIT企業のプロジェクト・マネジメントに関する調査を行った。 勤務校の広島大学には、EBSCO Hostという経営系のオンライン・データベースが存在するが、検索能力、PDFファイルともに限定された機能となっている。また、本研究に必要な学術雑誌・図書も皆無に近い。したがって、EBSCO Hostのフルバージョン、ABI-lnform、各出版社から出ているオンライン・データベース等が筆者にも利用可能であり、最新の学術雑誌を閲覧できる図書館へ赴く必要があった。筆者にも利用が可能な国内の大学図書館では、専門書・学術雑誌を自由に閲覧できないため、英語圏の大学図書館で文献検索・収集、図書の閲覧を行う必要があった。筆者へ図書館利用許可(オンライン・データベースからのダウンロードも含め)が出ているカリフォルニア大学で文献調査・収集を行った。 今年度の成果をまとめ、論文化したものをAcademy of Management2009Conference(2009年8月、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ市で開催)の査読審査に投稿した。2009年3月末の時点で、Academy of Managementより、査読を通過し、論文発表の許可を得た。
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