研究概要 |
入社前研修とは,新卒の内定者(学生)を対象とした雇用側主催の教育訓練を指す。4月入社の場合でいえば,一般に前年10月から3月末の間に実施される。Eラーニング,集合研修,実務研修などそのタイプはさまざまである。 今年度は,インターネットによる個人調査と企業のインタビュー調査及び国際会議での2回の発表を行った。 インターネット調査(有効サンプル数200)は,2008年7月上旬,入社3か月目の新入社員に対して実施した。入社前の段階でどのような入社前研修を受講したか,現在の職務満足度はどうかなどを質問した。調査の結果,入社前の段階において何らかの研修を受けた新入社員の方が,受けない新入社員より職務満足度が高い。その中でもメンター制度の経験がある新入社員は,職務満足度が高いという結果が得られた。 国際会議の発表は,これまでの調査に基づいて2008年7月27日にポルトガル・ポルト市,同年8月8日に英国ケンブリッジ大学で行った。これと前後してEU諸国で同じような入社前研修を実施する事例があるのかどうかについて実態調査を行った。ポルトガル・リスボン大学,フランス・INSEAD経営大学院などでのインタビューで聞く限りにおいては,同じような制度は見られない。フランスの場合は,入社前研修はないが,インターンシップや,キャリア支援は非常に積極的に行っていることが明らかになった。これらの研究は,グローバル化が進む中で,今後の日本的な採用・研修制度の参考になると考える。
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