研究概要 |
1. 研究の進め方 本プロジェクト最終年の平成21年度の研究活動も,インタビュー調査に基づく実証研究を主として実施し,理論研究と文献研究を並行して進めてきた。フィールド調査は,中国南部と台湾の小売業その他の現地企業へのインタビュー,ウクライナ進出企業の経営戦略についてのインタビュー,ロシアでの外食,小売企業へのインタビューなどが中心であった。 2. 研究成果 (1) ロシアの小売市場を過去,現在,将来を見据えて,その徴を明らかにし,小売業態と主要プレーセーの動向を解明した。また,小売ビジネスの障害を示し,解決の方向性を検討した。そのうえで,外国企業代表しIKEAを,国内企業を代表してX5リーテルグループの事例研究を行った。小売企業の知識移転の進め方,小売市場の変化に留まらず,小売業がロシア社会と人々の生活に大きな変化をもたらしていることをした。 (2) 世界の広告市場の動向と日本の主要広告会社の国際化の到達点を明らかにした。主に,東アジアと東南アジアに焦点を当て,電通と博報堂の国際事業の取り組みを分析した。両社が,社内大学という公式な制度とグループ内職能間,同一顧客間の訓練,会議,非公式な情報交換をじて,知識移転と企業内組織學習を進めていることがわかった。遅れていた日本の広告会社の国際化を本格化させるためには,各国に複数の子会社を設け,同一業種複数のにサービスできる体制を整えるとともに,知識移転のチャネルを太く,多様なものにすることが求められることを指摘した。 (3) 3年間のプロジェクトの集大成として,ロシアに焦点を当てた,『新興市場ロシアと国際ビジネス研究』という単著の発刊準備を進めており,サービス企業の組織学習のあり方を経営プロセスの踏み込んで,検討する。
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