本年度は調査全体の3年目にあたる。本年度の最も重要な研究ステップはパイロット調査の実施と中間的な研究結果を海外学会で発表することであった。 第1のパイロット調査については、人材派遣業、広告業を主にビジネスを行っているA社の営業担当者に対して、実施することができた。具体的には、まず、調査項目の妥当性チェックのため、専門家(経営学者および企業人事担当者)による内容チェックを行い、各質問項目が理論的に妥当な内容となっているか、聞きたい内容が質問項目に適切に反映されているかを判断した。 この妥当性チェックを終え、いくつかの修正を行った後、A社の従業員を対象にパイロット調査を行った。パイロット調査は、A社の構築しているサーバー上に、ウェブ形式で回答できる調査票(アンケート票)を掲載し、そこに回答者がアクセスすることで、データが収集することができるような仕組みをとった。 収集された回答結果を電子的に入力し、統計パッケージを用いて、分析するためのデータチェックを行うとともに、パイロットデータを活用した、モデル分析を行った。その結果、ビジネスにおける創造性が、いわゆるIQテストで測定される収束的思考能力とは弁別可能であること、同時に創造性はビジネスにおけるパフォーマンス(人事考課結果など)と相関することが明らかになった。また、ビジネスにおける創造性を規定する要因として、おおきく、パーソナリティ、モチベーション、能力、環境という4要因が重要であり、それらのコントロールが創造性、ひいてはパフォーマンスを向上させることが示された。 以上の結果は分析途上であるため、次年度以降の詳細な分析が必要であるが、途中経過として、アメリカ・コロラドスプリングスにおいて開催されたICAM (The International Conference on Advances in Manaement)において発表され、当学会の論文集にも掲載された。
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