情報が多様化かつ増大した情報社会の現代において、企業はますます総合的な問題の解決を迫られ、物事を総合的に処理していかなければならない時代になった。同時に解決すべき問題そのものを設定する能力も必須になっている。こうした意味でも創造性は、全ての現代人にあまねく求められている資質である。しかし、これまで国内外での創造性の測定に関する理論的蓄積は、少ないのが現状である。研究が盛んに行われていた1960年代から1970年代にくらべ、現在での研究は盛んであるとは言えない。たとえば、アメリカ心理学会誌に掲載された論文のうち、創造性に関する研究は1%にも満たないのが現状である。従来の研究蓄積の中では、米国におけるギルフォードのSIモデルやトーランスのTTCTが典型例として指摘できるが、これらはビジネスにおける創造性を測定するという観点からは不十分である。したがって、われわれは、ビジネスにおける創造性発揮を認知的に把握することで、そもそもビジネスにおける創造性はどのように定義され、どのような尺度で測定可能であるかを、実証的に分析する必要があると考えるに至ったのである。こうした測定ができれば、創造性の育成や促進といった手法に関する知見も明らかになり、より実践的な応用が可能になるはずである。 以上の研究背景と研究目的のもと、4年間の研究機関において、ビジネスにおける創造性に関わる先行研究の収集と整理、ビジネスにおける創造性の定性的分析の実施、ビジネスにおける創造性に関する定量的分析の実施を研究計画の中心において、研究を進めている。
|