本研究の目的は、国内外のプロフェッショナルスクールにおいて活用されている教育方法や教材開発について研究を進めることを通じて、日本に適合する新たな方法を開発することにある。本年度は、最終年度であるので、主として研究成果の発表に力を入れ、教育方法の提案、教材開発を行った。 具体的には、まず、実務家向けの教育方法に関して、海外ジャ0ナルに論文を投稿し、掲載が確定している。自らの経験をケースとしてまとめ、参加者のディスカッションを通じて、情報を共有し、新しい視点を相互に学習するというケースカンファレンス形式としてその方法をまとめたことが主な貢献である。続いて、昨年度、調査に訪れた台湾の共同研究者による紹介を通じて、台湾政府主催の国際カンファレンスに参加した。そこでは、日本の人材育成の方向性を理解するための学術講演を実施した。共同研究者とは新たな人材育成フレームワークの形成に取り組んでいる。さらに、昨年度、民間企業と共同研究を実施した成果を踏まえて、・実務家向けのテキストを出版した。合わせて、勤務先で実施しているケーススタディーの成果をビジネス雑誌に掲載して、実務家向けに教材開発を行った。実務家向けにアクセスしやすい形で成果を公表した点で評価できると思われる。 昨年度は、国内のMBA、MOT、アカウンティングスクールを中心に新たな教育方法、教材開発の取り組みについて調査を行ったが、本年度は、海外のビジネススクールを訪問して、フィールド調査、インタビュー調査を実施した。その結果、企業との連携をどのように深めていくか、ビジネス教育に習熟したインストラクターをどのように確保していくかが、国内と同様に大きな課題になっていることが明らかになった。教育担当者の育成をどのように進めていくかが大きな課題であることがわかり、今後の研究方向を明確にすることができたことは意義深いと考えられる。
|