研究内容:21年度はこれまで入手した資料や論文・著書を読むと同時に、日本企業の国内回帰の反面教師として、アジアに進出して成功している日系企業について研究を行った。1月にはインドネシアに進出して好業績を挙げているユニチャームを訪問し、現地社長にインタビュー調査を行うと同時に、工場だけでなく製品販売先の卸商と小売商でも調査を行った。また、夏休み期間中には他の研究機関(東洋大学経営力創成研究センター)の調査で、ベトナムのハノイ近郊に進出しているマニー・ハノイ(MHC)を訪問し、現地での生産と人的資源管理を中心にインタビュー調査を行った。 研究の意義と重要性:本年度、海外調査したユニチャーム・インドネシアの工場は97年から操業しており。製品はベビー・ケア(赤ん坊紙オムツ)、女性用生理用品、ナプキンなどである。 同社の業績好調の原因は、発展途上国に適した製品の生産と販売方法である。製品生産においては先進国用製品と違って機能面をかなり削減し、包装の中に入れる製品数も極端に少なくすることにより、売値を安くしている。顧客には低所得層が多いが、人口が日本の約2倍なので結構高い総売り上げになるというビジネス・モデルである。中国などでもこのやり方で成功しているそうである。 ベトナムのマニー・ハノイの調査では、工場立地が都心から遠い田舎にある(他の日系企業のように工業団地に入らない)こと、社内公用語が日本語であることなどそのユニークさに感銘を受けた。 これらの成功企業の観察から、日本企業が国際競争力を持つために必要な戦略、つまり発展途上国において企業競争に勝つためにはどのような戦略が必要かがみえてくるのであり、そこから得られる知見は日本企業に裨益するところが大きいと思われる。
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