研究概要 |
本研究は、企業間ネットワークの自律的な生成プロセスについて、その実態を明らかにするとともに、エージェント・ベースト・モデルに基づき、ネットワークの創発プロセスをシミュレーションすることを目的としている。既存研究を概観すると、これらの問題に対し個別的に解決はしているものの、体系的に解決しているとは言い難い。すなわち、既存のネットワーク分析では、ネットワークフリー性やスモールワールド性についてのマクロ的分析が主体であり、それらがどのような性質をもった個体によって生成されたのかといったミクロ分析が明らかにされていない。一方、個々の主体同士の競争と協調のダイナミクス研究では、どの個体が進化論的に勝ち残ったのかといった議論が中心であり、構築されたネットワークの特徴に関する分析に欠けている。言い換えるならば、既存の研究では、マクロ分析とミクロ分析のリンケージといった視点が考慮されていない。本研究は,このマクロとミクロの分析のリンケージを試みる。 本研究では次の5点について解明する。(1)企業間ネットワークの構造特性の解明。(2)ネットワーク特性とネットワーク・パフォーマンスおよび構成企業のパフォーマンスとの関係についての分析。 (3)協調行動によるネットワーク創発の定性的解明。 (4)協調行動によるネットワーク創発のエージェント・ベースト・モデルによるシミュレーション。 (5)ネットワーク創発の応用実験。
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