主要な多国籍企業8社および研究テーマに関連する大学・研究所など8組織にインタビュー調査を実施した。 インタビュー調査からつぎのことが明らかになった。 海外子会社の日本人社長、日本語、親会社の非国際性で特徴づけられるこれまでの国際経営マネジメントは、不適当になってきており、今後は海外子会社の現地人社長、英語、内なる国際化の特徴の国際経営マネジメントに変えていくことが必要である。この国際経営マネジメントの革新は、慎重なプラグマティズムで漸進的にすすめる。これが共通の基本的な考え方である。 内なる国際化では、国際経営の歴史が長くなり、海外事業の規模が大きくなったことにともない、海外勤務経験のある日本人の社長、役員、管理者、専門家、技術者などは着実に増大している。また、外国人役員のいる企業はふえており、日本親会社のなかの外国人管理者も増大している。内なる国際化の進展の理由は、海外事業の高い成長率である。 内なる国際化を慎重に漸進的にすすめる理由のひとつに言語がある。日本親会社では基本的に日本語で仕事がなされており、これを、外国人が参加する仕事の場面に限定しても、英語に変えることは難事である。海外勤務経験者など一部の日本人を別にすると、日本人の英語力の不足のために英語で仕事をすることは非現実的である 内なる国際化は、スピードは速くないが着実に進展していることは否定できない。20年前であれば、親会社のなかに外国人はほとんどいなかった。現在では、親会社の本社などには外国人はめずらしい特別の存在ではなくなっている。 親会社のなかに外国人がいることにともなって、言語、会議のあり方、情報のやりとり、意思決定のプロセスなどマネジメントのあり方が変化しているが、変化の中身の詳細については、第2年度の研究に待ちたい。
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