研究概要 |
企業とNPOのソーシャル・アライアンスについての研究は緒についたばかりであり、その生成過程やプロセス、さらには結果について十分な議論ができているわけではない。とりわけ企業とNPO,さらには行政を含めた企業とNPOと行政のトライセクター・アライアンスの進化過程や、その過程における意図せざる逆機能については体系的な分析がなされているわけではない。本研究では、最終的に新しい商品の開発にまでつながったソーシャル・アライアンスとして、タオル製造メーカーと視覚障害者の雇用創造を目指して活動するNPO法人の協働による新しいタオルの開発製造の事例、地域ブランドをもとに産業振興を目指して協働する大学発ベンチャー企業、シティプロモーションを目的に活動するメディア・ポータル型NPO、地元行政機関と公営動物園の三者によるチャリティ商品の開発と販売の事例、地元行政とリサイクル企業と障害者雇用や支援に積極的なNPOの協働によう資源リサイクル活動の事例、の3つを取り上げアライアンスの動機、過程、結果についてインタビュー調査をもとに分析した。さらに先行研究をもとに、企業とNPOのアライアンス、行政とNPOのアライアンス、企業とNPOと行政のアライアンスの異同について明らかにした。最後に企業とNPOと行政のアライアンスが、単に不足している資源や知識を相互に補完するという関係だけにとどまらずに、アライアンスの逆機能を克服しながら新しい価値や知識の創造につながることが求められていることを強調した。
|