研究概要 |
最初に既存データベースに新規データを追加して更新する作業が実施された。自動車保険関連データとして、各企業について、自動車保険構成割合(自賠責および任意保険)・自動車保険価格に関する諸指標が更新され、さらに火災保険、海上・運送保険、傷害保険などのデータが収集されて、データベースが完成した。続いて2006年までの損害保険企業の行動が検討された。契約ポートフォリオの保険種目の組み合わせに注目し、各種保険の比率が損害保険企業の経営効率にどのような影響を及ぼしているかを実証分析で明らかにするものである。同時方程式モデルで費用非効率を計測し、それをランク化した。オーダード・プロバビリティ・モデルはデータにより3種(1970〜2006、1970〜1995、1996〜2006)が試みられた。説明変数として自動車保険・自賠責保険・火災保険・傷害保険の割合と自動車保険関連変数(自動車保険シェアと単価)および金利を分析に含め、損害保険企業の契約ポートフォリオの組合せが経営効率(費用非効率)にどのような影響を及ぼすかを検証した。その結果、自動車保険関連変数のみの先行研究(平成16〜17年科研費基盤研究)では確認できなかった契約ポートフォリオの影響が明らかになった。ただし、データの種類と契約ポートフォリオ以外の変数の組み合わせにより結果に差が見られることから、さらに様々な分析を実施する必要がある。なお、ここまで得られた分析結果をAsia-Pacific Risk and Insurance Associationの12th Annual APRIA Conference July 6-9 2008, Australian School of Business, University of New South Wales, Sydney, Australiaにて研究報告することになっている。
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