前年度では、マクロ経済およびセンチメント・ファクターのプライシングの検証を行い、データに最もフィットしたモデルを個別ファクターとインスツルメント変数で特定した。本年(最終年)度は、国際株式市場における期待リターン=リスクプレミアムを、さらにより精緻化した条件付国際APTモデルとして再推定し、可変リスクプレミアムが国際間の相関連動の変化に影響を及ぼすメカニズムを1984年から2007年までのデータを用いて検証した。その結果、国際市場における最近の連動性(相関)の上昇が、ファクター(あるいはファクターリスク)だけでなく、可変リスクプレミアムが事後的無条件リスクの上昇に有意に影響を及ぼしていることを証明できた。またリスクプレミアムの変動は、国際金融市場での主要な(特に負の)出来事とほとんど完全に連動するパターンを有し、市場リスクに貢献していることが明らかになった。 結果は、研究協力者も加え、共著論文(Risk Premia in International Equity Markets Revisited)をPacific-Basin Finance Journal 17(2009)で最近公刊された。本年度前半で発表では米国FMA学会で、最も完成度の高い最終版に基づき発表をおこなった。
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