2007(初)年度では、データに最もフィットしたモデルを個別ファクターとインスツルメント変数で特定し、主に、先進国株式市場におけるマクロ経済およびセンチメント・ファクターの市場でのプライシングの検証を行った。2008(最終)年度では、債券市場をも含めた国際資本市場における期待リターン=リスクプレミアム関係を、さらにより精微化した異時点間条件付国際APTモデルとして再推定し、可変リスクプレミアムが国際間の相関(価格連動)の変化に影響を及ぼすメカニズムを1984年から2007年までの月次データを用いて検証した。その結果、国際市場における最近の連動性(相関)、すなわちリスクの上昇が、ファクター(あるいはファクターリスク)だけでなく、可変リスクプレミアムによってもたらされたことを証明することができた。また、リスクプレミアムの変動は、国際金融市場での主要な(特に負の)出来事とほとんど完全に対応・連動するパターンを有し、近年上昇した国際市場リスクにより貢献していることが明らかになった。
|