本年度は研究機関の3年目である。昨年に引き続き米国の金融コングロマリットに特に重点を置き、その経営戦略、組織、リーダージップの問題について事例研究を進めた。2009年8月には米国に滞在し、折から開催されたAcademy of Management世界大会に参加し、また現地の大学を訪問し研究会に参加することで、世界中からの研究者との意見交換を行うことができた。その成果がいくつかの論文につながっている。 100年に一度といわれる2008年に起きたサブプライム危機に端を発する世界的な金融コングロマリットの経営の問題の表面化は、本研究に絶好の事例研究の機会を与えた。そこで、この絶好の機会を研究に最大限活用するため、特にサブプライム危機による影響の大きかった投資銀行に的を絞り、折から発表さえる様々な資料、論文、書籍を渉猟し、金融コングロマリットの代表の一つである米国投資銀行の経営の成否を分ける要因の経営学研究をまとめていった。その成果は、現在印刷中の論文「投資銀行経営は変わるのか-外部環境変化と経営再生の方向-」(全29ページ)に集約されている。研究テーマがタイムリーなテーマとなったこともあって、2009年後半からは、これまでの研究の成果の発表を各地の学会等で求められ、特に投資銀行の経営に関するテーマでの研究発表が続いている。 このように、3年前、サブプライム危機が発生する前に設定した研究テーマは、非常に現実的に意義の大きい研究テーマとなっており、最終年度である平成22年度に向けて、その研究の最終成果をまとめていきたい。
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