研究概要 |
本年度の交付申請書に記された研究課題に沿ってその成果をまとめると以下のようになる: 1)消費者間影響関係の推定方法の開発実購買の履歴データから消費者間の影響関係を統計的に推測する分析アルゴリズムを開発し,Marketing Science Conference, International Meeting of the Psychometric Societyといった国際学会で発表を行った。この手法は従来法と違い,どの消費者セグメントに影響力があるかを事前に知ることなく,消費者間の影響関係を探索的に識別・推定できる点で優れている。 2)動的コミュニケーションモデルの研究第一に,消費者間のクチコミ伝播に消費者間ネットワークの性質が与える影響について,複雑ネットワーク上でのエージェント・シミュレーションを行い,その結果を日本マーケティング・サイエンス学会で発表した。その先行研究たるMizuno, Inoue, and NoguchiがAdvancing Social Simulation(Springer)に収録された。第二に,消費者が相互作用ながら自ら広告メディアを作り出すアフィリエイト広告という新しい広告形態に注目し,まずプロトタイプになるエージェントベースモデルを構築,シミュレーション結果について,人工知能学会知識ベースシステム研究会で発表した。 3)消費者選好の動的変化の計量インターネット上の流通ビジネスモデルに関連して注目されているロングテール現象について,消費者選好の動的細分化仮説とそれに対する企業のバンドリング戦略の観点から理論的に検討した。その一部の成果については,日本ダイレクト・マーケティング学会の特別講演で発表し,園田統制や今後の研究方針について実務家との意見交流を行った。
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