研究概要 |
当研究課題に関して,2008年度は研究実施計画に沿って以下の研究を行った。 第一に,昨年度開発した複雑ネットワーク上のクチコミ伝播シミュレーション・モデルの精緻化と拡張を行い,INFORMS Marketing Science Conference, International Conference on Economic Science with Heterogeneous Interacting Agentsといった国際学会で発表した。そこでの議論を踏まえ,さらにモデルの発展を進めている。 第二に,実データに基づく消費者間影響関係の分析のため,サービス供給者に対する選択や満足度のデータを用いて,消費者間相互作用を選択集合に反映させる新しいタイプの選択モデルの予備的検討を行った。これは,顧客データベースへの適用を想定して,「エージェントベースCRM」と名付けてJoint Agent Workshops and Symposiumで発表した。 第三に,消費者間の相互作用を直接観測するため,次世代携帯電話の一つであるiPhone 3Gに関するクチコミが,ある企業組織内部にどのように浸透するかを同一対象者への2時点調査で測定した。そこで観察されたネットワークの性質やその変化について分析を行い,日本マーケティング・サイエンス学会で発表した。その後,観測されたプロセスをモデルによって記述するための研究を継続している。
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