研究概要 |
平成19年度の研究は,文献、資料の収集とそれら既存研究の整理を中心に行った。加えて,そのような研究活動を進める中で,消費者の店舗内空間行動についての研究の蓄積が少ないことから,店内買物行動についての知見を蓄積するための基礎研究についても並行して行っていく必要性を認識するに至り,関連する基礎的研究にも取り組んだ。 文献・資料の収集とそれら整理の対象としたものは,消費者の異質性を考慮したモデル開発を行うための有力な接近手法と考えられるベイズ的アプローチに関連する研究、および消費者の小売店舗内における買物行動に対する多様な影響要因に焦点を当てた実証研究であった。前者については、本研究に直接関連する先行研究は確認できず、ベイズ的アプローチによる店舗内買物行動モデルを構築していくためにより優先される課題として、単純な構造の基礎的なモデルを開発していくことが課題として残された。後者については、直接関連する研究が僅かであることから、間接的に関連する可能性のある文献についても広く探索し、これまでに21編の文献を抽出した。関連する可能性のある文献について探索的に広範囲に調査を行い、その取捨選択に時間をかけたため、収集した文献・資料を整理しレビュー論文として纏める作業については平成20年度の継続課題とした。 店内買物行動についての知見を蓄積するための基礎研究としては、消費者の店舗内買物行動の分析手法の1つとして、複数の購入商品間の関連性についての消費者間の異質性を、潜在的な消費者セグメントを仮定することにより考慮することを可能とする分析手法を提案し、小売業のID付POSデータに適用した実証研究を行った。その成果については、平成20年6月出版予定の書籍『マーケット・セグメンテーションー購買履歴データを用いた販売機会の発見一』((株)白桃書房)の第5章「FiniteMixtureMode1によるセグメンテーションー惣菜カテゴリーの購入頻度データへの適用-」にて公表される予定である。
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