研究概要 |
消費者とのコミュニケーション活動には,従来いわゆるマスコミ4媒体が使用されてきたが,すべての新製品に対してコミュニケーション活動の予算が潤沢に振り分けられるとは限らない。そのため,包装消費財を企画・開発する企業においては,製品パッケージを通した消費者への情報伝達の重要性に対する認識が高まっている。しかしながら,パッケージ上の情報が,どのように,またどの程度消費者に処理されているのかはマーケティングの研究分野としてまだ解明されているとは言いがたい。そこで本研究では,パッケージに対する評価尺度を開発し,パッケージ・コミュニケーションモデルを構築した上で,実証的に検証する。合わせて購買意図形成に関するパッケージ情報処理の理論化を行い,コミュニケーション効果とブランド育成の関係を明確化する。 研究初年度の19年は,食品カテゴリーの4製品(チョコレート,グミ,ヨーグルト,カップスープ)を対象に,定性調査,定量調査(各2回)の予備調査を経て,本調査(インターネット調査)を実施し,パッケージの評価尺度の開発を行った。評価尺度は,(1)新奇性,(2)親しみ,(3)製品理解,(4)洗練の4因子15項目の変数から構成されることが確認できた。今後はこれらの結果を踏まえ,製品の販売実績(売上げ)を具体的な指標として,実証的に分析し,モデルの妥当性を検証する予定である。その上で,消費者の持つ製品カテゴリーに対する知覚品質やベネフィットといった情報処理構造を明確化し,購買意図形成に関するパッケージ情報処理の理論化を行い,コミュニケーション効果とブランド育成の関係を明確化する。なお,これらの成果は6月22日に開催される日本マーケティング・サイエンス学会で報告の予定である。
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