研究概要 |
1. 研究会を開催しての文献研究を行った。本年度は新規株式発行(initial public offering: IPO)に焦点をしぼって、会計学、ファイナンスのトップ・ジャーナル(Journal of Finance, Journal of Accounting and Economics, The Accounting Review, Journal of Accounting Researchなど)に掲載された学術論文を輪読し、本研究プロジェクトでの実証研究の方法論について検討した。その結果、IPOには利益操作の可能性と非合理的な投資家行動の要素が内在し、本研究プロジェクトを遂行する上で、注目すべきトピックスであることが判明した。 2. IPOに関する会計・ファイナンスの実証分析の準備を行った。IPOをめぐる会計利益と株式リターンの関係を実証的に解明するために、過去20年間にわたる日本のIPOサンプルについて調査した。そして、IPO実施日、lockup period、主幹証券会社、監査法人等を調査するとともに、分析に必要なデータ(財務諸表データ、株式リターン等)の収集を行った。 3. 本研究の中間段階での研究成果を、研究代表者である山本達司が、日本管理会計学会(2008年8月30日、甲南大学)で報告した。この研究報告の概要は、日本の株式公開買付(takeover bid; TOB)が日本の株式所有構造の特徴である相互持合によって、その実行が阻害されていることを、行動ファイナンスの経済モデルよって明らかにし、日本のTOBのケースによって確認したものである。この論文は、2009年4月に発行される学会誌『管理会計学』に掲載される。
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