研究分担者 |
町田 祥弘 青山学院大学, 会計プロフェッション研究科, 教授 (50267431)
佐藤 信彦 明治大学, 会計専門職研究科, 教授 (20225981)
小俣 光文 東京経済大学, 経営学部, 准教授 (40316683)
福島 隆 明海大学, 不動産学部, 講師 (80339671)
小澤 康裕 立教大学, 経済学部, 准教授 (50362819)
|
研究概要 |
従来,法改正(特に商法改正)の折に,「会計帳簿」の範囲について,若干の論考が行われるだけであったが,本研究は,昨今の情報システムの高度化が,改めて「会計帳簿」に目を向けさせる状況に至っていると考え,古くて新しい「会計帳簿」に係る諸問題に包括的に取り組んだ。日本公認会計士協会等の実務家団体による調査以外で,「会計帳簿」を主たるテーマに取り上げた包括的な研究はかって存在せず,その意味でも本研究の成果は今後の貴重な資料となるはずである。 本研究の成果は次の通りである。第一に,アンケート調査により,わが国における実務上の帳簿の範囲や紙媒体としての帳簿利用の意義及び傾向を確認したことが挙げられる。第二に,会計システム化の一層の進展とXBRL等の新技術の導入のもとで,財務諸表の作成の基礎としての会計帳簿の必要性は低下していくと見られる一方,XBRLが法定開示の財務諸表レベルで導入されても,直ちに企業内部の会計システムに取り入れられるわけではない点も明らかにした。第三に,個別財務諸表準拠性の観点からも連結財務諸表作成における会計帳簿の独自の位置づけに関して有意義な視点を提供した。 なお,連結財務諸表が会計情報の開示の中心となりつつあり,また,ITを利用した会計処理のシステム化により,実務上は原始データから直接的に財務諸表が作成することが可能となる中,将来,会計帳簿には,複式簿記に基づく帳簿組織体系の構成要素としての会計帳簿の意義が維持されるべきか,あるいは単に記録媒体としての利用価値しか見出せなくなるのかについて疑問を提示している。さらに,こういった実務の環境変化に応じて連結財務諸表の作成基準等の見直しも検討する必要が生じる可能性も指摘した。
|