研究概要 |
本年度も,当初の目的を達成できたものと評しうる。まず第1には,研究課題に直接関連するレピュテーション・マネジメントに関する会計学からの研究書を上梓することができたことである。この著書は,レピュテーション・マネジメントの役割と課題,会計手法によるレピュテーション・マネジメント,およびケース・スタディからなる。この体系は,理論・手法・ケースという枠組みから構成したものである。単に理論や実務だけでなく,ケースや手法に裏づけされた理論的な展開がなされているといえる。 研究論文では,EVAに関連したもの以外はすべて研究課題に関連する論文を発表してきた。『産業経理』から発表した会計学とレピュテーションに関する論文は,コーポレート・レピュテーションがどんな関係にあるかの 疑問に応えようとしたものである。とかく日本では,過去に例のたに研究をすると,会計学との関係が薄いのではないかとの批判に曝されることがある。そのような,ありうる批判に応えるために作成した論文である。 YKKの世界戦略については,総務省の行政学専門の教授との信頼性の研究に関する研究成果である。異なる専門ではあるが,たいへん勉強になっている。 レピュテーション・マネジメント有効性も,会計学は具体的にはどんな局面で,どんな形でレピュテーション・マネジメントに貢献するかを明らかにしたものである。また,最後の論文は,レピュテーションだけでなく,インタンジブルズとの関係ではどんなアプローチがあり,コーポレート・レピュテーションの研究が無形の資産との関係でどんな役割を果たしているかを論及している。
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