研究概要 |
わが国の「企業結合に係る基準」は,「取得」にはパーチェス法,厳格な条件を満たす「持分の結合」には持分プーリング法を要求し,基本的には,IFRS3改正前のIAS22(1998改訂)の会計処理法を踏襲した。企業結合会計として,パーチェス法の強制適用,のれんに対する減損テストが基準化されるという動向は,米国会計基準への調和・国際的収敏に終始している。国際的会計基準であるIFS3も,英・米基準との調整を図りながら改訂され続けてきた。 平成19年度には,主として英国の会計基準と会計実践について調査研究を行った。英国では,企業結合に関する現行会計基準として,1994年9月に財務報告基準第6号「取得と合併」(FRS6)および財務報告基準第7号「取得会計法における公正価値」(FRS7),1997年12月に財務報告基準第11号「固定資産とのれんと無形資産』(FRS11)が公表され,既に実務化されている。英国のFRS6・FRS7・FRS11の内容および会計実践を調査研究する。とりわけ,過去・現在における企業の会計実務例を調査することによって,会計基準の変容を探る。平成19年8月23日から30日にかけて,英国における企業結合会計の第一人者であるエクセター大学のクック(T.E.Cooke)教授を訪ね,英国の会計学会レベルの最新の状況・会計理論について論議した。さらに,平成19年11月14日から15日にかけて,日本の研究者(無形資産の会計に精通されている神戸大学の古賀智敏教授)との情報・意見の交換および討論を行った。基本的に,英国における企業結合会計に関する文献・資料の収集・整理および分析を行ったが,必要に応じて日本の研究者との意見交換を行った。
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