研究概要 |
最初に会計情報の質に関する研究としては,第1に竹原が証券アナリストの公表した業績予想値から公的/私的情報の精度を推定することを試み,情報の精度と会計発生高,株式資本コストとの関係を分析した.その結果は日本会計研究学会大会において発表されるとともに,『証券アナリストジャーナル』誌に掲載された.第2に会計利益の質の尺度の一つとされる,異常会計発生高の推定方法に関しては,久保田,竹原が早稲田大学フアイナンス研究科須田一幸教授と共同研究を実施し,既存の異常会計発生高推定手法の比較を行なった.同研究における成果を,竹原が日本ディスクロージャー研究学会研究大会において発表し,現在,査読付学術誌への投稿に向けて準備を進めている.第3に,金融資産また海外子会社など時価評価により認識される,その他の包括利益の株価関連性について,久保田,竹原が須田一幸氏と共同研究を実施し,その他の包括利益の情報内容を明らかとした.その成果は,Asian Academic Accounting Association Annual Conferenceで発表された.第4に,会計における保守主義と,その評価指標間の関係については,奥村がと評価指標の特徴について検討した. 次に,当期利益,繰延欠損金,繰延税金資産/負債の過去データを入力とするモンテカルロシミュレーションについては,いくつかの単純化のもと,コンピュータ上に実装を行い,限界税率の測定が可能となった.同研究の一部がFinanzArchiv誌に掲載された.現在,これまでに開発されたシステムの改良がなされるとともに,繰延税金資産の回収可能性評価に向けた取り組みを継続している.
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