平成19年度の基礎調査の上に、平成20年度は本格的に、 1. スコットランド議会および「欧州委員会」の取り組みから、日本の地域言語保護促進に向けて政府・地方議会が住民の意向をどのように反映していくのか、その可能性と具体的な政策立案プロセスについての研究を行った。 2. 日本政府内で検討されている地方分権・道州制導入論はともすれば、税制改正、地方予算削減という経済効率論が先に立ちがちであり、これを地方への権利委譲と、地域文化・言語保護促進にむけた契機として本研究はとらえるとともに、スコットランドの取り組みの応用・紹介という視点からの研究に取り組んだ。 3. 具体的な研究実績としては、2008年7月から8月にかけて、連合王国スコットラントのアバディーン大学で開催された、国際学会Association for Region Nation Literatureで、スコットランド作家・ルイス・グラシック・ギボンの作品について研究発表を行い、特に同時期の20世紀初頭の作家・夏目漱石の小説「三四郎」に描かれる英国の表象を取り上げ、第一次大戦を背景に両作品に極めて重要な社会認識での共通性があることを論じ、成果を得ることができた。
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