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2007 年度 実績報告書

学術情報のゲートキーパーとしての出版社に関する文化生産論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19530433
研究機関一橋大学

研究代表者

佐藤 郁哉  一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (00187171)

キーワード制度的起業家 / 組織モデル / 組織アイデンティティ / 多元的組織アイデンティティ / 文化と商業 / クラフトと官僚制 / 出版危機 / 教義主義
研究概要

共同研究者とともにおこなった学術出版社5社の事例を中心とするフィールドリサーチの結果によって、出版社の組織構造やその活動が「商業性対文化性」「クラフト性対官僚制」という2つの対立軸を中心とする組織アイデンティティと密接な関係を持つことが確認された。それぞれの出版社は、それらの対立軸を一種の座標軸としてみた場合、特徴的な組織アイデンティティのプロフィールを示すが、それは決して固定的なものではなく、組織環境とりわけ学術界と市場環境の変化によってさまざまな変化を遂げるものである。そして、その変化にあたっては、「制度的起業家」とも呼べる、革新的なビジョンを構想し、またそれを具体化する膂力を持った人々が重要な役割を果たすことになる。また、それらの制度的起業家は、既存の、一定の正当性を持った組織モデルをさまざまな形で解釈して新たな組織・制度モデル(institutional model)を構築していくことになる。それはまた、各出版社の組織アイデンティティのあり方と深い関わりを持つことになる。
このようにして組織モデルと組織アイデンティティ、そしてまた制度的起業家の果たす役割を具体的な事例に即して明らかにしていく作業は、近年組織理論において注目を浴びている、制度的環境に対する組織の対応を制度の制約や条件だけでなく、行為主体の側からの働きかけという観点から把握していく上で、きわめて斬新な視点を提供するものと思われる。また、言うまでもなく、このような視点のもとに学術出版の動向を明らかにしていくことは、日本における学術コミュニケーションのあり方と今後の行く末について見極め、また政策提言をおこなっていく上でも貴重な知見を提供するものであると言える。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Institutional Entrepreneurship in Scholarly Publishing2008

    • 著者名/発表者名
      Ikuya Sato, Manabu Haga, Mamoru Yamada
    • 雑誌名

      一橋大学日本企業研究センターワーキングペーパー

      ページ: 1-37

  • [雑誌論文] 制度の起業と「組織モデル」-学術出版社の事例を中心にして-2007

    • 著者名/発表者名
      佐藤郁哉
    • 雑誌名

      一橋大学日本企業研究センターワーキングペーパー

      ページ: 1-57

  • [雑誌論文] Product Portfolio and Multiple Organizational Identities of Scholarly Publishers in Japan2007

    • 著者名/発表者名
      Ikuya Sato, Manabu Haga, Mamoru Yamada, Hidehiko Tomiyama
    • 雑誌名

      一橋大学日本企業研究センターワーキングペーパー

      ページ: 1-20

  • [図書] 友枝敏雄・山田真茂留編『Do!ソシオロジー』「社会変動と文化現象」pp.143-167を執筆2007

    • 著者名/発表者名
      佐藤郁哉
    • 総ページ数
      290
    • 出版者
      有斐閣(所収)

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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