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2008 年度 実績報告書

学術情報のゲートキーパーとしての出版社に関する文化生産論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19530433
研究機関一橋大学

研究代表者

佐藤 郁哉  一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (00187171)

キーワード制度的起業家 / 組織アイデンティティ / 組織イメージ / 組織モデル / パトロネージ・システム / ポートフォリオ / 内部補助 / 産業セクター
研究概要

学術出版社4社および大学出版部1出版部を対象とするインテンシブな事例研究の結果によって、平成19年度までに出版社の組織構造やその活動を規定する上で重要な意味を持つと確認された、組織アイデンティティの「商業性対文化性」「クラフト性対官僚制」という2つの対立軸のそれぞれについて更に詳しい検討をおこなっていくことの必要性が明らかになっていった。とりわけ、「商業性対文化性」の対立軸については、「教科書対モノグラフ」という刊行ライン上での対比との対応が、必ずしも当初想定していたような単純なものではなく、より複雑な要素を含んでいることが判明した。これは、とりもなおさず、「この出版社は、どのような組織なのか」という、組織アイデンティティに関わる問いの答えが、「学術書とは何か」という、文化生産物に関わる文化的規定と密接に関連することを意味し、また、その文化的規定が出版社が埋め込まれている社会的文脈によって著しく異なるという事実を明らかにする。
また、平成20年度の研究成果は、組織アイデンティティの構築にあたって、何らかの組織モデルがきわめて重要な役割を果たしていることをも示唆するものである。とりわけ、大学出版部を対象とした事例研究においては、欧米のuniversity pressをモデルにして設立されたとされる同出版部が実際には、その欧米モデルをいわば換骨奪胎することによって、日本の現状に即した独自の組織運営上のモデルと組織アイデンティティを構築していったことを明らかにしている。
この、既存の組織モデルの「翻訳」ないし「翻案」のプロセスは、昨年度は特に制度的起業家の活動に焦点をあてて明らかにしていった、制度的環境に対する行為主体の側からの働きかけという観点に対して、さらに新たな分析視角を提供するものと思われる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Lost and Gained in Translation2009

    • 著者名/発表者名
      Ikuya Sato. Manabu Haga, Mamoru Yamada
    • 雑誌名

      日本企業研究センターワーキングペーパー

      ページ: 1-43

  • [雑誌論文] 組織アイデンティティの変容過程2008

    • 著者名/発表者名
      山田真茂留, 佐藤郁哉, 芳賀学
    • 雑誌名

      日本企業研究センターワーキングペーパー

      ページ: 1-36

  • [雑誌論文] 集団的自費出版から新たなるポートフォリオ戦略へ2008

    • 著者名/発表者名
      芳賀学, 佐藤郁哉, 山田真茂留
    • 雑誌名

      日本企業研究センターワーキングペーパー

      ページ: 1-35

  • [雑誌論文] 学術出版社の組織アイデンティティ2008

    • 著者名/発表者名
      山田真茂留, 佐藤郁哉, 芳賀学
    • 雑誌名

      日本企業研究センターワーキングペーパー

      ページ: 1-18

  • [学会発表] 「モノグラフの危機」の時代における学術コミュニケーション2008

    • 著者名/発表者名
      佐藤郁哉, 芳賀学, 山田真茂留
    • 学会等名
      日本社会学会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2008-11-23

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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