研究概要 |
初年度に引き続き、外国人労働者が地域産業の維持にとって不可欠な存在となっている地域を取り上げ、その実態の一端を調査に基づいて明らかにした。具体的には、北海道雄武町の水産加工業で働く中国人研修生・技能実習生、愛媛県西条市・伊予市の各種製造業で働く中国人研修生・技能実習生の事例である。 「研修生」とは、1993年に発足した外国人研修・技能実習制度を利用して日本に「研修」ビザで入国し、「研修」という名ではあるが、実質的には労働に従事する外国人労働者を意味する。「研修生」は1年の「研修」期間後、技能レベルが一定水準に達したことが認められ、在留状況が良好と認められると、在留資格「特定活動」に変更が許可され、雇用関係の下で技術等を修得する「技能実習生」となる。「技能実習生」の期間は2年で、「研修生」と併せると在留期間は最大で3年間である。 外国人研修生・実習生の数は増加している。2007年の「研修」資格の新規入国者数は102,018人であり、2002年以降その増加率はほぼ毎年10%以上である。2006年に技能実習生に移行した数は51,000人であり、2002年以降その増加率は毎年20%を優に超えている。国別で多いのは中国であり、2006年では新規入国者の約67%、技能実習生移行者の約75%を占める。実習生を多く受け入れている職種は、(1)繊維・衣服、(2)機械・金属、(3)食料品製造である。また受入企業の半数以上が中小零細企業である。日系人労働者のように特定の地域に集中する傾向はなく、岐阜県、愛知県に多いものの、ほぼ全国に分散している。研修生・技能実習生は、すでに絶対数では日系人労働者の半数近くになり、しかも頭打ち傾向のそれとは異なり増加が続いているのにもかかわらず、原則として短期で帰国するので定住につながらず、かつ分布が分散していることもあって、一般に地域において住民からは「見えにくい」存在となっている。
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