研究概要 |
年度は、19年度から20年度にかけて実施してきた認知症サポートネットワーク調査の結果を取りまとめ、西日本社会学会で報告し、論文として発表した。また、施設利用アンケート調査、医療機関アンケート調査、包括支援センターヒアリング調査を実施し、その調査結果を取りまとめた。 施設利用調査においては、認知症のサービスネットワークが機能しているか否かについて,生活圏域外サービス利用率から明らかにすることを試みた。在宅調査と施設調査を実施し、両者とも杵築市を対象とした。在宅調査で特徴としてあらわれたのがデイサービスとデイケアで,圏域内外含めた利用率は,旧杵築市はデイサービスが高く,デイケアが低かった。旧山香町は,反転した結果となった。両地域とも,高齢者人口あたりの利用定員に相関した。一方で,デイケアとデイサービスは機能代替性があり,上記利用率の逆転はこれが影響していることが考えられた。しかし,両地域とも,高齢者人口あたり利用定員が多いサービスが,圏域外利用率も高いという矛盾した結果となった。 医療機関アンケート調査では、認知症治療においては認知症の早期発見・早期治療が大切であり、そのためには「かかりつけ医」を中心とした認知症医療システムの構築が求められという考えのもとに、大分県と宝塚市の診療所を対象として実態調査を実施した。その結果、大分県においては認知症の診断をしていない「かかりつけ医」が多いことや専門医との連携に問題があることが明らかになった。 地域包括支援センターヒアリング調査は、宝塚市・大分市・杵築市において実施した。宝塚市・大分市は民間委託で実施しているが杵築市は市の直営で実施している。認知症相談事業における地域社会への働きかけは宝塚市が積極的であったが、大分市・杵築市においては弱いことが判明した。
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