複数のハンセン病療養所退所者(社会復帰者)へのインテンシヴなライフストーリー・インタビューをおこなった。少年期にハンセン病を発症しその後20歳で退所し、再発を乗り越えてきた社会復帰者の場合、初回は、退所者の自宅においてその配偶者とともに入所中および退所後の生活、思い等を聞きとったが、再度、配偶者のいないところでの再インタビューを希望され、2回目の聞き取りをおこなった。そこでは再発時の仕事との折り合いのつけかた、出身家族・親族との関係、訴訟後の厚生労働省との交渉、退所者どうしの関係、今後の生活設計等々、より複雑で苦渋の度合いが強い話が語られた。また、語り手はこれまでの聞き取り経験についても言及したが、その成果の公表を配偶者が拒んでいることに、いまだハンセン病者家族のおかれている心的状況を知ることになった。 また、「支援すること」について、セクシュアル・ハラスメント被害者や女性、障害者への支援およびケアに関する議論、理論について考察するとともに、日本におけるハンセン病者と知識人、文筆家らとの交流・支援を考える第3回資料セミナーに参加した。彼らの人間性への鋭い、揺らぐことのないまなざしが病者との関係を築いたことが分かった さらに、療養所元職員でありハンセン病問題の理論的旗手であった方にインフォーマルな聞き取りをおこなった。その他、これまでに収集した資料の整理に着手した。
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