(1)わが国のハンセン病問題は1998年に提訴され2001年に判決が出されたハンセン病国賠訴訟において一挙に社会問題として認識されるようになったが、法的問題から離れて、ひとりひとりのハンセン病経験者がどのように生きてきたのかについての考察はいまだ少ない。そこで、本研究では、ハンセン病療養所入所者、「らい予防法」がいまだ存続していた時期に「社会」に出て生活をしてきたハンセン病療養所退所者、および、訴訟後の新規退所者の生活世界について考察することを第一の課題とした。また同時に、彼らを支えたひとびと-医師や支援者-についても、考察の対象とする。 (2)これまでの研究の途上で、研究者は、インドネシアにおけるハンセン病医学研究の実際と現地でのハンセン病経験者のありようの一端を知ることができたので、その点をより一層考察するために、インドネシアにおけるハンセン病医療および回復者支援とそれらの仕組みについて、調査、考察する。 (3)研究課題を遂行するに際して研究者が直面する方法論上の問題等にも関心を払い、研究することそのものをリフレクシヴにとらえる。そのための社会学的/社会調査の方法論の研究をおこなう。
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