第1に、韓国において行ったシングルマザーの就労困難性に関するアンケート調査とインタビュー調査の結果を、以前行った日本の調査結果と比較検討し、フランスのCNAF(全国家族手当金庫)の雑誌に投稿した(現在、査読中)。本研究の特徴は、徒来の研究のように、(1) シングルマザーに対する偏見と孤立、(2) 就業の状況、(3) 子育ての状況について明らかにしながらも、(4) シングルマザーの女性労働に対する意識、(5)子どもの父親からの養育費に対する意識、(6)ひとり親家族に対する手当に対する意識に焦点を当て、シングルマザーの状況を明らかにした点にある。特徴的な結果は以下の通りである。日本の場合、「正社員になりたい」というニーズが多かったが、韓国では、「正社員になりたい」というニーズと「自営業を営みたい」というニーズが同じ割合であった。また、韓国の場合、「キャリアアップして豊かな生活をしたい」と思うシンクルマザーが多いのに対し、日本の場合、「今の生活水準を維持できれば十分である」と考える人が、全体の約4割を占めた。さらに、韓国の方が、日本よりも、「夫が妻と同じくらい家事や育児に関わるべきである」という脱性別役割分業意識が強い一方で、日韓とも、「小学生までは、フルタイムで働くべきではない」という性別役割分業意識を有しているシングルマザーが多かった。こうした結果をもとに、日本と韓国のシングルマザーの就労支援のあり方について明らかにした。 第2に、日本トフランスの女性労働状況の差異とひとり親家族政策(家族政策一般)に着目しながら、日本とフランスのシングルマザーに就労支援状況の違いについて検討した。 第3に、韓国において、シングルマザーの就労状況と就労支援状況に関する調査を行った。 第4に、日本の母子福祉センターにおいて、母子自立支援プログラムの状況に関する調査を行った。
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