本研究の目的は主体的に生活し社会参加を実現しているALS患者の「ニッチ」及び「ニッチ」形成には何らかの共通性があり、その共通性はコミュニケーション支援の実態を中心に据えることで抽出が可能である、という仮説を検証することであった。その検証を行なうために、1997年〜1999年までにインタピュー調査を実施した北海道と秋田県在住の10名のうちの生存者3名、ALS患者死亡後にインタビューを実施していない7名の主介護者、そして2000年以降に実施した北海道1名のALS患者・家族・支援者の縦断研究を実施、ならびに北海道在住の新規ALS患者と支援者の開拓を行い訪問調査を実施する計画を立案した。 本年度の予定については計画実施時期を第1期(4月〜6月)から第4期に区分し、各時期に次に示す計画を立てた。第1期(4月〜6月):(1)文献レビューを行う。(2)調査票を作成する。(3)被調査者の開拓を行う。第2期:(7月〜9月)(1)第1次調査(縦断研究を中心に)を実施する。(2)逐語録を作成する。(3)結果の整理・分析を行う。第3期:(10月〜12月)(1)第2次調査(新規開拓者を中心に)を実施する。(2)逐語録を作成する。(2)結果の整理・分析を行う。第4期:(01月〜03月)(1)紀要に結果を発表する。 計画予定の実施状況はつぎの通りである。予定通り縦断調査対象者全員に接触し調査依頼を行った。病気2名と調査拒否1名以外については予定通り実施できた。新規開拓は3名行なうことができた。この3名の訪問調査は次年度に実施する予定である。訪問面接調査は本人の許可を得て録音を行う、録音した調査結果の逐語録を作成した。現在、2つの質的調査分析法、すなわちソフトウェアを用いた分析と人手によるカテゴリ化を実施している最中である。結果の公表は今年度については実施できなかった。この要因の1つには第4期に分析方法を追加したためにソフトウェアの選択ならびにソフトウェアに関する研修等に時間を費やしたことによる。調査結果が出次第、公表する予定である。
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