研究概要 |
本研究は、ネパールのダリット(Dalit)とよばれる、アウトカーストとしてカースト制度の最底辺におかれた女性たちの社会的地位向上と、日本のNGOをはじめとした諸外国のNGOや地元NGOとの活動の連携を基盤にしたサポートシステムの構築をはかることを目的としている。 平成19年度は、ネパールのダリット女性により設立されたNGOのFEDO(Feminist Dalit Organization)の活動状況や、外国NGOと地元NGOなどのNGOの活動や連携の実態を調査するため、平成19年12月22日〜30日まで、ネパールのカトマンドゥを拠点に聞き取り調査を実施した。 調査では、(1)FEDOのフィールドスタッフやプログラムディレクターから、NGOの活動状況、村でのマイクロファイナンスの活用状況や問題点などについて、(2)カトマンドゥにあるJICAネパール事務所で各担当職員の方々から、ネパール女性の地位向上のための施策や課題、NGOと地域住民との連携、地方行政の郡事務所等との関係、草の根技術協力事業の今後の計画等について、(3)ダリットの福祉向上を目的に活動しているDWO(Dalit Welfare Organization)からその活動状況や課題について、(4)ダリットNGO連合のDNF(Dalit NGO Federation)からNGO同士、行政との連携について聞き取り調査を行い、情報、資料を入手した。さらに、研究課題に関連した書籍も現地の本屋で入手できた。 これらの調査結果、資料をもとにダリットの解放運動から見えてくるネパールの社会構造的な歪,複合差別の実態、開発を阻むもの、NGOのあり方について、研究分析を進めているが、これらを通して南アジアに通底する人間開発、経済開発の課題を考察することは、持続可能な社会開発を推進する上で重要なことであると思われる。
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