研究概要 |
本研究の目的は、「物語状」質的データと呼ばれる、主にインテンシブなインタビューからえられる質的データに基づいて、対人援助専門職に固有の多様で複雑な対象/問題/対策像構成プロセスに注目し、対人援助専門職の専門知(expert knowledge)がどのように組み立てられているかを、実証的に明らかにしていくことにある。 対人援助専門職の活動内容は、関連専門知識、法規、状況判断、クライアントの表情の読み取り、クライアントとの会話の中での注目する言葉、助言を求めることのできる自分以外の専門家、利用可能な社会資源等々、いわば多様な情報のからんだ、複雑な対象/問題/対策像構成プロセスである。 このプロセスに注目し,それを,時系列を基本としたできごとの流れとそれに関わる登場人物を主な柱としつつ、できごとに対する登場人物の解釈や評価などを含んだ複数の要因が,ある程度文脈をもつものの,しかし再整理が必要なほど散在しているタイプのデータ,すなわち「物語状」質的データに記録し,分析することがめざされる。 平成19年度においては,1)対人援助専門職専門知の位置づけを,とくに看護・福祉領域の関連既存研究のサーベイから明らかにし,2)テキストマイニングを始めとする「物語状」質的データ分析技法の有効性を確かめ,3)看護・福祉の実際のフィールドから,実習記録やインタビュー記録の収集,調査をおこなった.
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