研究課題/領域番号 |
19530483
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山中 茂樹 関西学院大学, 災害復興制度研究所, 教授 (30411797)
|
研究分担者 |
荏原 明則 関西学院大学, 司法研究科, 教授 (40140397)
宮原 浩二郎 関西学院大学, 社会学部, 教授 (10200198)
|
キーワード | 復興 / 被災地 / 仮設住宅 / 復興住宅 / 中抜け現象 / 自宅敷地内仮設 / 災害救助者 / 被災者 |
研究概要 |
阪神・淡路大震災の被災者が入る復興住宅で、働き盛りがいなくなると言う「中抜け現象」がなぜ起きているのか-との疑問から着手した今回の被災地復興意識調査。科学研究費に加え、朝日新聞社との共同調査や「中越復興市民会議」の協力などで、阪神間の復興住宅だけでなく、能登半島地震の仮設住宅、新潟県中越地震で大きな被害を受けた小千谷市東山地区、旧山古志地区で住民意識調査を試みた。さらに、輪島市、小千谷市東山地区、火山噴火による全島避難が解除され、ようやく2年がたった東京都三宅村で現地調査、福岡県西方沖地震で壊滅的被害を受けた玄界島の復興従事者らを交えての勉強会を開催して、被災地でどのような支援が欠け、どのような施策があればよいのかを立体的に考察した。この結果、災害で被災者が避難所→仮設住宅→復興住宅と動くたびに、都心への「居残り」や、不便な復興住宅からの「吸い出し」などの現象が起き、集落が壊れていく様子が浮き彫りとなった。阪神間では壮年層が仕事を求めて元の居住地に吸い出されていく「中抜け」現象、三宅村では、学齢期の子どもと母親が学校の関係で都心に居残る「教育残留」、玄界島では老後の医療・福祉サービスを求めて都心に居残る「介護残留」などの現象がみられた。さらに移転などにより棄農が進み、無職化・年金依存など世帯の衰退化に拍車がかかっていた。被災集落を壊さず、従来の社会経済活動を継続させるためには、できうる限り、自宅敷地内仮設住宅や集落内に分散仮設、分散復興住宅を配置するなどして被災世帯を動かさないことが重要なポイントとなる。災害救助法では認められていない自宅敷地内仮設をメニュー化するほか、被災し、撤去された被災住宅跡に戸建ての復興住宅を建て、当該被災世帯の入居を認める。行政が被災者に払う地代と被災者が行政に納める家賃で相殺するなど新しい制度の構築の必要性が明らかになった。
|