本研究は、脳血管疾患患者が様々な苦痛や困難に対処し、ライフ(生存・生活・人生)の再構成を図っていく過程、ならびに、その過程に影響をもたらす対処戦略、支援環境について、特に変化の大きい発病後1年後までの経過を追い、実証的に把握することを目的とした。本年度は、調査票策定のため文献レビュー、パイロット調査と、調査対象者のリクルートを行った。まずは、発病後1年以内の脳血管疾患患者にかかわる理学療法士等の専門職者に半構造化面接を行い、治療やリハビリテーションの現状と課題、患者のたどる主な経過を確認した。次に、脳血管疾患患者の患者会の会員20名に自由記述を中心にした質問紙調査を実施し、心身機能の経過、困難だったこと、役立つ支援などについて発病後1年以内の経験を振り返ってもらった。文献については、脳血管疾患患者の発症後の心身機能の変化や生活、人生の経過を実証的にとらえた学術論文のほかに、出版されている患者の手記や患者会の会報などをレビューした。医学的にいう急性期、回復期、維持期の時期によって、患者の治療や生活場所が影響されるため、患者の経験を理解するうえでもこの時期別に分析していくことが必要である。時期や症状によってさまざまな苦痛・困難が経験されていること、家族や専門職者による支援が重要であること、患者の要望などについて、現在解析中である。次年度は、この結果を踏まえて、調査票を確定し、調査の実施を行う予定である。
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