本研究の目的は、高齢者福祉の観点から、健常女性高齢者を対象とした音楽療法(コーラス活動)の効果を、内分泌学(ホルモン)・心理学的に研究し、その成果を高齢者福祉に活かすことである。音楽療法が高齢者の心のケア、心身の健康維持・増進に効果的であることを、分子(ホルモン)レベルで実証し、代替療法としての音楽療法の確立の可能性を探っていく。 本年度の研究実施計画は、実験計画立案のための先行研究調査、実験計画の立案、および被験者の募集・スクリーニング等を実施する予定であった。国内外の先行研究を調査・検討した結果、本実験で測定する内分泌指標(唾液中ホルモン3種類)、心理テスト(POMS)、認知能力テストを選定した。また、募集する被験者の条件、実験期間、セッション内容、実験環境等についても条件を設定した。実験は月1回のセッションを3ヶ月間継続して実施し、各セッションの前後で唾液採取および各種テストを実施する。 本年度実施予定の、先行研究の調査、実験計画の立案、被験者の募集・スクリーニング作業は順調に進み、予定よりも早い段階で全作業は完了した。それにより、申請段階では次年度に行う予定であった実験の実施を前倒しし、既に着手した。現在、実験で収集した各種データの整理・入力、および分析を行っている。
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