研究概要 |
幼保一元化または一体化施設に取り組んできた園の動向と現状を把握するために、乳幼児に長時間保育・教育がどのような影響を及ぼしているかに関連する文献の精査と文献調査を行った。その結果,長時間保育が乳幼児の発達にどのような影響を及ぼすかに関する研究は本邦においても行われているが,総合施設モデル園の問題点であるカリキュラムと乳幼児の発達とを関連づけた研究成果ではないことなどの問題点が明らかになった。さらに,全国には認定こども園が全く試行または実施されていない県があることが明らかになってきた。どのような理由から認定子ども園の試行がなされなかったのか,また今後,認定子ども園として申請しようとする動きがないのかについて,関係者の考えをインタビューにより明らかにしつつある。この点を明らかにすることによって,認定こども園の持つ様々な面についての問題点や改善すべき点を明確に示すことができる。すなわち,具体的には沖縄県と熊本県での関係者へのインタビューを通して,(1)認定こども園の持つ機能はすでに地域の乳幼児を取り巻く保育・教育の実際において行われており,改めて多くの問題点を持つ認定こども園に関わる必要がない,また,(2)行政の積極的な広報や申請のための支援が行われておらず,必要性が保護者にも保育者にも認識されていない実態があることなどが明らかにされた。引き続き,全国的アンケート調査のための質問項目を作成し,予備調査を実施しその結果を基に項目分析を行っている。
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